
粉体塗装はどんな塗装?
「粉体塗装(ふんたいとそう)」とは、粉末状の塗料を金属に直接吹き付けて焼き付ける塗装方法です。
スチール製のテーブル脚やフレーム家具などによく使われており、見た目を美しくするだけでなく、錆や傷から金属を保護するという大切な役割も果たしています。
一般的な塗装と聞くと、ペンキや液体塗料で色を塗るイメージがありますが、粉体塗装では「粉の塗料」を使う点が大きな特徴です。
粉体塗料を静電気の力で金属表面に吸着させ、高温の炉で焼き付けることで、強く密着した塗膜(とまく)を形成します。
この塗膜は、従来の溶剤塗装の約5倍の厚みを持つこともあり、非常に高い耐久性を誇ります。
粉体塗装のメリット
粉体塗装には、環境面・機能面ともに多くの利点があります。
1. 環境にやさしい塗装方法
粉体塗装は有機溶剤を使用しないため、揮発性有機化合物(VOC)を発生させません。
その結果、
- 大気汚染の防止
- 水質汚濁の防止
- 火災リスクの低減
- 作業者への健康被害の軽減
といった面で非常に優れています。
さらに、余った粉体塗料を回収・再利用できるため、塗料ロスが少なくコストパフォーマンスにも優れています。
2. 高い耐久性と防錆性能
粉体塗装で形成される塗膜は厚く、非常に強度があります。
そのため、キズや摩耗に強く、塗装面が空気に触れにくいため錆びにも強いのが特徴です。
また、耐熱性・耐油性にも優れているため、家具だけでなく以下のような分野でも活用されています。
- 産業機器 など
- ガードレール
- 自動車部品
- 家電製品
粉体塗装のデメリット
一方で、粉体塗装にはいくつかの注意点もあります。
1. 色の変更や調整が難しい
塗膜が厚いため、再塗装や色替えがしづらいという欠点があります。
一度焼き付けると塗膜を削る必要があるため、細かなカラートーンの調整は困難です。
2. カラーバリエーションが少ない
粉体塗料は、液体塗料と比べてメタリック調や光沢仕上げなどの色味が少ない傾向にあります。
そのため、デザイン性よりも「耐久性」「機能性」を重視するシーンに適しています。
まとめ
粉体塗装は、
- 環境にやさしく
- 高耐久で錆びに強く
- コストパフォーマンスにも優れる
という優れた塗装方法です。
色の種類や塗り替えのしにくさといった制約はあるものの、
その性能と環境負荷の低さから、これからの時代に適した塗装技術として注目されています。
テーブル脚やスチール家具など、長く美しく使いたい製品には、粉体塗装仕上げがおすすめです。




















